東京でスイスを探して
職場での月例チームミーティングが終わると、私たちはたいていランチを注文する。 時にはお弁当。 時にはカレー。 先日、誰かが「ビリヤニはどう?」と提案した。
するとある同僚が、ふとこう尋ねた。「東京でデリバリーができるスイス料理店ってあるのかな?」
その質問に、私は完全に不意を突かれた。 ここに長年住んでいるというのに、正直なところ、全く知らなかったからだ。
すると別の誰かが指摘した。「まあ、チーズフォンデュのテイクアウトは難しそうだよね」
もっともな意見だ。
それと同時に、私はあることを思い出した。 日本人がスイス料理と聞いて思い浮かべるものは、決まって一つしかない。 チーズフォンデュだ。 それだけである。
公平を期して言えば、フォンデュはおそらく、スイスが国際的に最も成功させた輸出食品だろう。
問題は、人々が「スイス人は四六時中これを食べている」と思い込んでいることだ。
朝食。 昼食。 夕食。 ひょっとしたら、午後のおやつにまで。
他にどんな典型的なスイス料理があるのかと聞かれると、私はいつも言葉に詰まってしまう。 料理がないわけではない。 ただ、それを説明するのに時間がかかるのだ。
「仔牛のクリーム煮、レシュティ(ジャガイモのパンケーキ)添え」と言っても、すぐには魅力が伝わらない。 仔牛のレバー炒めもしかり。
スイス風アルペン・マカロニも。 キノコのクリームソース・シュニッツェルも。
一方で、ある統計によれば、東京にはイタリア料理店やフランス料理店が約1万軒あるという。 スイス料理店は? どうやら4軒らしい。
別に、私が切実にスイス料理店を必要としているわけではない。 本物のスイス料理が食べたければ、私の妻が完璧に作ってくれる。
彼女は最高の師匠から学んだのだ。30年前、私たちがスイスに住んでいた頃、私の母から直接伝授されたのである。
難しいのは、食材探しだ。 例えば、仔牛(ヴィール)。 スイスでは一般的だが、この辺りでは? まず見かけない。
以前は置いていた近所の肉屋も急に扱わなくなってしまい、その理由すら説明してくれなかった。
それでも、私は興味が湧いてきた。 東京に数少ないスイス料理店は、一体何を「スイス料理」と見なしているのだろうか? 答えは、予想通りだった。 大抵はチーズ。
それから、私なら必ずしもスイス料理とは呼ばないようなものがいくつか。
最初にチェックした店(スイス・シャレー)には、チーズフォンデュ、オイルフォンデュ、コールドミートの盛り合わせ、サーモン、そしてブルゴーニュ風のエスカルゴがあった。
エスカルゴがいつからスイス料理になったのかは定かではないが、どうやら私たちは今、それを自分たちのものとして主張しているらしい。
二軒目の店(スイス・イン)も、やはりチーズがメインだった。それからラクレット。
ここのフォンデュには野菜やエビ、ソーセージが添えられていた。私の母国では「冒涜」とも言える組み合わせだ。だが、理解はできる。パンだけをチーズに浸して食べるのは、日本人の感覚からすると少し無謀(そして不健康)に感じられるのかもしれない。
そして、事態はさらに奇妙な方向へ。
別の「スイス」レストラン(セント・バーナード)では、小さなポーションのフォンデュが、パスタ料理やカレーライス、ハンバーガーなど、全く別の国からうっかりメニューに紛れ込んでしまったような品々と共に提供されていた。
唯一明らかにスイスらしい要素は、バーガーに刺さった小さなスイス国旗だけのようだった。
しかし、最も興味深い発見は「銀座スイス」という店だった。創業者は1947年、「本格的な欧州料理をリーズナブルに日本へ」という崇高なビジョンを掲げてこの店を立てた。
ならば、ここが日本独自の「カツカレー」発祥の地であると聞けば、驚く人も多いだろう。
今日、メニューには数々のカレーのバリエーション、「昭和のグラタン」、ハンバーグ、オムライス、シーフード盛り合わせ、そしてステーキの味噌クリームソース添えが並んでいる。
私は「スイス」の要素を探して数分間メニューを眺めた。 ……まだ探している最中だ。
これによって、私はあることに気づかされた。 スイス料理は海外において、ちょっとしたアイデンティティ問題を抱えている。 イタリア料理は一目でそれと分かる。
フランス料理もそうだ。 しかし、スイス料理は、次の二つのどちらかになってしまうらしい。 溶けたチーズか。
あるいは、なんとなく「ヨーロッパ風」か。
おそらく、それは避けられないことなのだろう。
結局のところ、スイスという国自体が、隣国から多くを借り入れ、密かに自分たちなりのバージョンとして組み立ててきた国なのだから。
それでも。 もし私たちが東京で、レシュティ、仔牛料理、そしてアルペン・マカロニに特化した店を開けば、意外と市場の隙間を突けるのではないだろうか。




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