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タッチスクリーンから、タイムマシンへ

  • rowiko2
  • 1 日前
  • 読了時間: 4分

本記事は、2025年9月20日に英語で公開されたものです。

 

先週、私は大胆な決断を下しました。8年間忠実に仕えてくれた愛車に、そろそろ「年金生活(引退)」をさせてあげる時が来たのです。ピカピカの新車に乗り換える時だ、と。それは記念碑的な決断でした……少なくとも私にとっては。最愛の妻の熱量はかなり控えめでした。色の選択には貢献してくれましたが、残りは唯一のドライバーである私に委ねられました。マツダのディーラーへの英雄的な遠征、完璧な戦車(チャリオット)を求める壮大な探求、そして価格を巡るセールスマンとの剣闘士のような戦いです。


3時間後、私は勝利の凱旋を果たしました。アグレッシブな目標価格を達成しただけでなく、予想以上の好条件を引き出すことに成功したのです!


私の対案(カウンターオファー)を上司に承認してもらうために、セールスマンがしばらく奥へ消えていったという事実は、私の綿密な戦略が功を奏した証拠のように思えました。

最近の車購入は妙に未来的です。まるでテイクアウトを注文するような感覚です。セールスマンがiPadをタップするだけで、はい出来上がり、見積もりが表示され、変更も簡単です。基本的にはUber Eatsと同じですが、巻き寿司の代わりに4つの車輪が届き、お値段が少しばかり恐ろしいという点だけが違います。


私は得意満面でした。外国人の私が、日本人の妻に頼らずに日本で車を買うことができたのですから。


……セールスマンに「2週間後にまた来てください……今度は奥様と一緒に」と言われるまでは。いよいよ「書類仕事」の時間だからです。


私がタブレットにした電子署名は、単なる準備運動に過ぎなかったことが判明しました。あれは注文書であって、実際の売買契約書ではなかったのです。そのためには、個人の「印鑑」が必要なのです。

日本では、彼らは「シール(Seal)」を愛しています。海でパチャパチャ遊ぶ可愛い動物のアザラシ(Seal)ではなく、お役所仕事のための印鑑の方です。


認印(ハンコ)は宅配便の受け取りなどの日常業務に使いますが、不動産やローン、車の購入といった深刻な案件には、公式に登録された「実印」が必要です。


そして、ただのハンコではダメです。ああ、とんでもない。そのハンコがあなたのものであることを証明するものも持参しなければなりません。聖なる「印鑑証明書」です。これは、この朱肉の輪が確かにあなたのものであると、大いなる権威をもって宣言する紙切れです。登録された印鑑の印影、名前、住所、生年月日が記載されており、通常は発行から3ヶ月間といった短期間のみ有効です。


Seal registration certificate with intricate patterns, a red and gold stamp case, and an orange stamp on a textured surface.

日本はデジタル時代に到達したかもしれませんが、本当に重要なことに関しては、何世紀も続く慣習を手放す気はさらさらないようです。


ディーラーはこの聖なる巻物を4通も要求してきました。4通! 彼らの休憩室の壁紙にでもするつもりなんでしょうか。


しかし、ここに選択の余地はありません。「印鑑証明書」がなければ契約なし。契約がなければ車もなし。シンプルです。


かつて、これは平日に市役所へ巡礼し、東京ディズニーランドより長い行列に並んで時間を蒸発させることを意味していました。


しかしそこで、日本政府はハイテクな皮肉(アイロニー)とも言える「マイナンバーカード」を導入しました。米国の社会保障カードや英国の国民保険番号の日本版と考えてください。ただし、政府発行の物理的な写真付き身分証明書としての機能も備わっています。

取得は任意ですが、税金から健康保険、そして……(待ってました!)……印鑑証明書の「紙のコピー」を入手することまで、すべてを効率化できるため、取得が強く推奨されています。


おかげで仕事を休む必要はなく、妻と一緒に近所のセブンイレブンに行くだけで済みました。カードをかざし、機械のボタンをいくつか押すと、数秒後には聖なる書類が出てきました。4部。紙で。


この皮肉は私にも分かります。最先端のデジタルシステムが、単に「より多くの紙」を簡単に入手するためだけに設計されているということが。


私は貴重な教訓を学びました。日本では、交渉でカーディーラーのセールスマンに勝つことはできます。しかし、日本のお役所仕事に関しては……こう言っておきましょう。「胴元(お上)には絶対に勝てない(The house always wins)」と。








 
 
 

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