スイスと日本の共通点とは?(パート2)
- rowiko2
- 12月10日
- 読了時間: 7分
本記事は、2023年10月6日に英語で公開されたものです。
前回の記事では、いかに山が両国の風景において大きな要素となっているかについて触れました。些細な違いがあるとすれば、スイス人は山頂に国旗を立てたがるのに対し、日本人はそうしないことくらいでしょうか。
ここから次のトピックへとつながります。
国家のアイデンティティを最もよく表すものは何でしょうか? もちろん、国旗です。これもスイスと日本のもう一つの共通点と言えるでしょう。形こそ違いますが、配色は明らかによく似ています。スイスは「赤地に白十字」、日本は「白地に赤い丸」です。
もっとも、「赤十字社」のシンボルマークがスイス国旗の反転(創設者であるスイス人アンリ・デュナンへの敬意として)であることから、多少の混乱が生じることもあります。
さらに、Googleマップで東京の病院を検索すると、スイス国旗を彷彿とさせるシンボル(赤地に盾形の枠に入った白十字)があちこちに出てくることに気づくでしょう。初めてそれを見たとき、私は「スイスは東京にどれだけ大使館を持っているんだ……」と不思議に思いました。まあ、日本ではそれが病院の地図記号だと気づくまでの話ですが(他の国では、病院は「H」のマークで表されるのが一般的です)。
国旗の類似性にはメリットもありますが(並べると色が互いに引き立て合って綺麗です)、同時に紛らわしくもあるのです……。
しかし、もし皆さんが「山と国旗の色だけが共通点だ」と思っているなら、それは大きな間違いです。
では、他には何があるのでしょうか?
両国とも「物価が高い」という評判がある
あえて「評判」と言ったのは、30年にわたるデフレと近年の円安により、日本についてはもはや事実とは言えなくなっているからです。日本を訪れる観光客にとっては喜ばしいことですが、家族に会うためにスイスへ帰ろうとする私のような人間にとっては、以前ほどお金の価値が通用しなくなってしまい、あまりありがたくありません……。
両国の通貨には高額硬貨がある
スイスには大きな5フラン硬貨(約5ユーロまたは5ドル相当)があり、日本にも似たような価値の500円玉があります。違いは、日本には1円玉(1セント以下の価値)があるのに対し、スイス人はそんな細かいものは気にしないことでしょうか。スイスの最小単位は5セント(ラッペン)です。
両国とも優れた医療制度を持っている
運営方法は大きく異なりますが(スイスは民間保険主体、日本は公的保険制度)、どちらの国も医療の質に関しては世界トップクラスであることを誇りにしています。
両国とも「とても清潔」という評判がある
スイスや日本を訪れた外国人旅行者と話すと、ほぼ必ず「国がきれいだ」というコメントが返ってきます。ただし、スイス人が日本を訪れたり、その逆だったりする場合は別です。彼らにとっては、それが当たり前で、まるで家にいるような感覚だからです。
両国とも治安が良いとされている
もちろん犯罪は存在しますが、世界的な基準で見れば、両国の犯罪率は低いです。どちらの国でも、電車に鞄や財布を置き忘れたとしても、たいていの場合は遺失物取扱所で中身が無事なまま見つかります。私自身も経験がありますが、だからといってわざわざ試してみようとは思いません。「転ばぬ先の杖」と言いますからね。
品質と精密さへのこだわり
スイスの緻密な時計製造や精密計量機器の設計に注がれる技術は、日本の工学、ロボット工学、自動車製造に求められる正確さと似ています。日本もまた、時計製造のトップ3カ国の一つであることは驚くにあたらないでしょう。ただ興味深いことに、スイスには自国の自動車産業がありません。
人々は控えめでプライベートを重視する
全体的に見て、スイス人は周囲への配慮や社会的なエチケットを尊重しますが、同時にプライベートを大切にし、控えめな傾向があります。そのため、外国人が友人を作るのは難しいかもしれません。これは、一般的にシャイで控えめ、見知らぬ人には簡単に心を開かないとされる日本人とよく似ています。
もちろん、国籍に関係なく私たちは一人ひとりの人間ですから、一般化やステレオタイプには注意が必要であることは承知しています。すべてのスイス人が同じように考えるわけではありませんし、すべての日本人が同じ特徴を共有しているわけでもありません。
両国とも「世界平和度指数」でトップ10に入っている
ちなみに、「そんな指数あるの?」と思った方へ。はい、実在します。そして最新の2023年版が発表されたばかりです。( Global Peace Index 2023 )
両国とも広大で信頼性の高い公共交通機関がある
「スイスの鉄道は正確すぎて、それを見て時計を合わせられる」という言葉があります。しかし、これを言った人はおそらく日本を訪れたことがなかったのでしょう。日本の有名な高速鉄道「新幹線」の定時運行率は驚異の99%です。100%に届かないのは、頻繁に起きる地震のせいで安全確認のための停車を余儀なくされるからだと言っていいでしょう……。


両国の「時間の正確さ」は鉄道の時刻表だけにとどまらない
会議や夕食の招待には時間通りに到着するのがマナーです。数分遅れるよりは早めに着くほうが良いとされます。誰かを待たせることは失礼なことだと考えられています。
平均寿命は両国とも世界最高水準
どちらもトップ4にランクインしており、日本人女性はスイス人女性よりも約2歳長く生きますが、男性の場合は逆で、スイス人男性のほうが約1年長く生きます。長生きするなら、安全で清潔で、医療制度が充実し、電車が時計のように正確に動く国で暮らしたいものですから、これは理にかなっていますね。
二つの「島」国
日本は言うまでもなく海に囲まれた島国ですが、スイスも少し違った意味で「島」なのです。
「ヨーロッパの中の島」: 周囲をEU諸国に囲まれています。
「中立の島」: 近現代史を通じて紛争でどちらの側にもつくことを拒否し、今日に至るまでNATOにも加盟していません。
「高物価の島」: 物やサービスの価格は周辺諸国より大幅に高いですが、それに見合う高い所得もあります。
1980年代初頭の短い期間、スイスは「時間の島」でさえありました。周辺国がこぞってサマータイムを導入し、春に時計を1時間進めたとき、この有名な民主主義国家スイスでは国内の反対により、国民投票を行わなければなりませんでした。主な反対者は農家の人々で、「牛の体内時計が狂って牛乳の生産量が減る」と主張したのです。
投票の結果、有権者はサマータイム導入を即座に否決しました。そして1980年4月、スイスの隣国すべてが時計を1時間進めたとき、スイスの農家は勝利しましたが、至る所で不条理な光景が繰り広げられることになりました。
例えば、アムステルダム発ローマ行きの列車は、1時間早く出発してしまわないよう、スイス到着時に1時間待機しなければなりませんでした。問題は、イタリアに着いたときには1時間遅れになってしまうことです。もっとも、他の国に比べて「遅延」の定義が緩やかなイタリアでは、大して気付かれなかったかもしれませんが……。
航空業界でも同様の混乱が生じ、飛行機が「正しい時間(それが何を意味するにせよ)」に正しい場所にいられるよう、特別なタイムテーブルを組まなければなりませんでした。
スイスのテレビ視聴者でさえ混乱に直面しました。スイスのテレビ局で夜の主要ニュースを見るか、ドイツのチャンネルで刑事ドラマを見るか、同時に放送される番組のどちらかを選ばなければならなくなったのです。
そして車でスイスに入国する人々は、税関職員からパスポートの提示や申告物の有無を聞かれるだけでなく、「時計を1時間戻してください」と親切に念押しされる始末……冗談ではありませんよ!
夏の終わり頃には、牛の体内時計がどうあれ、こんな状態を続けるわけにはいかないと多くの人が気づきました。そして議会はヨーロッパの他の国々に合わせることを決定し、翌年には「時間の島」は消滅しました。このアルプスの民主主義国家において民意が無視されることは滅多にありませんが、一般的な意志(common will)が常識(common sense)を欠いている場合、憲法が立法者に明らかな間違いを正すことを認めているというのは良いことですね……。
スイスは今日に至るまで、断固として独立を保ち、EUの隣国とは違うやり方を通そうとします。多くの場合それは正当な理由によるものですが、時として単に意






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