「紋章」全開で前進！

本記事は、2025年4月12日に英語で公開されたものです。

スイスのほとんどの家族は「紋章（Coat of Arms）」を持っています。紋章といえばお城や王冠、貴族のためのものだと思っている国の人なら、少し（あるいは大いに）驚くかもしれません。しかしスイスにおいて、紋章学は単なる古代の戦いに関するものではなく、伝統であり……そして正直に言えば、健全な「ファッション」の一部なのです。

紋章ビジネス全体は中世に始まりました。騎士たちが「全身鎧で固めることには厄介な欠点がある」と気づいたのがきっかけです。金属のスーツの下に誰がいるのか、さっぱり分からなかったのです。その結果、「おっと、ごめん、うっかり親友を槍で突き刺しちゃった」という不幸な瞬間が生まれました。そこで登場したのが紋章です。中世の名札であり、戦場のファッション・ステートメントでした。

何世紀にもわたってこの慣習は社会の他の部分にも広まり、庶民も使い始めました。彼らはおしゃれな紋章のおかげで、自分たちが少し「特別な存在（less common）」になったように感じ始めました。

紋章を持つことは、「自分は何者かである（somebody）」ことを示す方法だったのです。

時計の針を20世紀に進めると、紋章学は広く普及したファッショナブルな現象となりました。紋章のある家に生まれる必要はなく、クリエイティブになって注文すればよかったのです。はい、出来上がり。これであなたの家族も「紋章持ち」です。多くの場合、これらは様々な州（カントン）、町、自治体、または地域の公文書館に保管されました。

ただし、紋章を登録しても公式な地位が得られるわけではありません。スイスでは、紋章は権威によって授与されるものではないからです。あくまで個人的なマークであり、公的な価値はありません。

そして、スイスの武器庫から鎧が消えて久しい今、実用的な用途もほとんどありません。もちろん、蝋で封をした手紙に紋章を押すことはできますが、メールと絵文字の時代には少々時代遅れに見えます。

そのため長い間、主に玄関のドアやステンドグラスの窓など、装飾目的で使用されてきました。

今日でも、持っていなければ自分で紋章を作ることができます。ただし、紋章学には特定の言語とルールがあるため、専門家に依頼するのが賢明です。

考慮すべき多くのルールや制限があります。主なルールは色の重ね合わせに関するものです。また、紋章は不可解な言語（紋章記述：ブレイゾン）に翻訳されます。例えば、このブログ記事の著者の紋章は次のように記述されます。「銀地に、斜めの青い川。兜飾り：青いピラミッド型の帽子、銀の折り返し、5本の黒い雄鶏の羽」。

まあ、この特定のケースに関しては、言葉よりも絵の方が分かりやすいでしょう……。

スイスでは何世紀にもわたって紋章学が生き残ってきましたが、今、現代の敵に直面しています。「無関心」です。この芸術形式は徐々に忘れられつつあり、技術を教える専門家もほとんど残っていません。正直なところ、Z世代にTikTokの時間を削って紋章記述を学べというのは無理な話でしょう。

幸いなことに、スイス人は非常に実用的な方法でその精神を生かし続けています。道路の上で、です。そこでは「控えめさ」は（文字通り）後部座席に追いやられます。車のナンバープレートは実質的にミニ・アートギャラリーであり、一つならず二つの紋章を掲げています。州の紋章と、スイス国旗です。国と地域の誇りを二重に示すことができるのに、一つのシンボルで止める理由があるでしょうか？ 渋滞に巻き込まれていようと、絵のように美しいアルプスの風景をドライブしていようと、あなたがスイス人であり、26ある州のうちどこの出身であるかは誰の目にも明らかです。住所を放送しているようなものですが、もっとクールです。

しかし、これには明確な欠点もあります。もしあなたが他県ナンバー（他の州）の車で、曲がり角を見逃さないように、あるいはスイスに多数ある卑劣なスピードカメラを作動させないように、制限速度よりわずか時速1km遅く走っていたとしたら――覚悟してください。違う地域のナンバープレートを表示していることは、地元の人々にとって「お前はここの人間じゃない」と思い出させるためのクラクションを鳴らす自動招待状のようなものです。

誰にも分かりません、もしかすると紋章学が輝かしい復活を遂げるかもしれません。想像してみてください。州の紋章とスイス国旗の横に、あなたのナンバープレートが高祖父の紋章も誇らしげに掲げている姿を。退屈な希望ナンバー（vanity plates）は忘れてください。これぞ走る紋章の傑作です。もし誰もがこのトレンドを取り入れたら、道路は単にA地点からB地点へ移動する場所ではなく、前の車の家族の歴史を称賛する場所になるかもしれません。それなら、クラクションを鳴らす価値のある世界になることでしょう！