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「ターキー・デー(感謝祭)」の歴史を深掘り

  • rowiko2
  • 12月11日
  • 読了時間: 6分

本記事は、2023年11月23日に英語で公開されたものです。

 

今日、アメリカは「感謝祭(サンクスギビング)」です。そして日本は「勤労感謝の日」です。つまり、(少なくとも今年は)この二つの国が同じ日に祝日を迎えるという、珍しい巡り合わせの日なのです。


アメリカの感謝祭は常に「11月の第4木曜日」に行われますが、日本の祝日は特定の日付(11月23日)に固定されています。今年はたまたまその二つが重なり、合同の祝日となったわけです。


祝われる日は必ずしも同じではありませんが、実はこの二つの祝日、起源は似ています。もっとも、少しばかり「ひねり」はありますが。


歴史の面白いところは、誰に聞くか、どの資料を見るかによって、同じ出来事でもいくつかのバージョンが存在することです。そして、どれが真実に最も近いかを見極めるのは困難(あるいは不可能)です(おそらく、真実はその間のどこかにあるのでしょうが)。ああ、誰かが早くあの夢のようなタイムマシンを発明してくれないものでしょうか。そうすれば過去に戻って「ファクトチェック(事実確認)」ができるのに。もっとも、絶対的な真実はガッカリするものだったり、衝撃的なものだったりするかもしれません。それに、魅力的な議論を巻き起こすミステリーや推測に終止符を打ってしまうことにもなります。そうなれば、世界は今よりずっと退屈な場所になるでしょう……。ですから、タイムトラベルなんてないほうが幸せなのかもしれません。


さて、アメリカの学校で一般的に教えられている公式な説によれば、アメリカの感謝祭の起源は1621年、メイフラワー号で到着したイギリス人入植者たちが、新天地での最初の収穫を助けてくれた先住民(ネイティブ・アメリカン)と共に食事を囲み、感謝を捧げたことに遡ります。今日祝われている休日の背景としては、とても素敵でふさわしい物語に聞こえますが、実際の真実はこのバラ色の描写よりもかなり暗く、平和的ではなかったと言う人もいます。しかし、実際の状況がどうであれ、何らかの形で「秋の収穫」が関わっていた可能性は高いでしょう。


ここで日本の「(勤労)感謝の日」に話を移しましょう。こちらも議論の余地があります。歴史書によれば、日本は何世紀にもわたり、2000年以上前、稲作が日本に伝来した頃まで遡る儀式に基づく「収穫祭(新嘗祭:にいなめさい)」を行ってきました。伝統的にこの祭りは、その年の重労働をねぎらうものであり、儀式の中で天皇はその年の収穫を神々に捧げ、自らもその年初めての新米を口にします。1873年にグレゴリオ暦(太陽暦)を採用した際、祭りの日付は9月23日(※訳注:旧暦の該当日から換算して、後の11月23日に固定)とされました。しかし、第二次世界大戦後のアメリカによる占領下、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)は「新嘗祭」を含む神道神話(1945年まで日本の国教であり、無生物を含む万物に霊が宿るとする信仰)に根差した日本の祝日を廃止しようとしました。これに対する日本政府の対応は、かなり実用的だったと言えるでしょう。日付はそのままに、単に祝日の名前を「勤労感謝の日」に変えたのです。シンプルですね。


これが、今日二つの国が感謝祭を祝うことになった経緯の「短縮版」です。


現在の最大の違いは、アメリカでは感謝祭が一年で最も重要な祝日の一つ(おそらくクリスマスと同等)であり、家族が再会するために国中を移動し、伝統的なローストターキーのご馳走を食べ、アメリカンフットボールやパレードを見る日であるのに対し、日本にはそれが一切ないということです!


実のところ、日本では一年の中にたくさんある「仕事が休みになる日」の一つに過ぎません。実際、日本の祝日は年間16日もあり、アメリカの11日、スイスの9日、英国のわずか8日と比べても多いのです。


ここには家族の集まり(それはお正月のためのものです)も、パレードも、ターキーディナーもありません。まあ、正しい場所に行けば話は別ですが!


私は幸運なことに、昨日、職場の仲間たちと素晴らしいターキーランチを楽しむことができました。実は、コーンブレッドのスタッフィング(詰め物)、マッシュポテト、クランベリーレリッシュ(ソース)が揃った、伝統的なアメリカンスタイルのローストターキー料理を味わうのは、私にとって初めてのことでした!


Turkey for Thanksgiving at T.Y. Harbor in Tennoz Isle, Tokyo.

このあたりで、私の母国スイスにおける感謝祭の重要性についても触れておくべきでしょう。重要性は「皆無」です。なぜなら、単純に存在しないからです!


興味深いことに、ドイツには相当するものがあります。通常10月の最初の日曜に行われる収穫祭(「Erntedankfest」)ですが、主に宗教的な背景を持つもので、公式な祝日ではなく、アメリカの感謝祭のように盛大でもありません。


とはいえ、スイスにも収穫に関連した特定の伝統はあります。ただ、時期はずっと早い(9月)ですし、そのスタイルはいかにもスイス流で、感謝祭やドイツのそれともかけ離れています!


いくつか例を挙げましょうか?


まず、「ジヒレテ(Sichlete)」というお祭りがあります。名前がヒントになっています。これはドイツ語で「鎌(sickle)」を意味し、機械が入っていけない山岳地帯で今でも使われている伝統的な農具のことです。この祭りは収穫期の到来を祝うもので、アルプスの牧下り(牛たちが夏の放牧地から降りてくる伝統行事)、牛の美人コンテスト、家畜の品評会などが色とりどりに混ざり合っています。また、カウベルの演奏や牛の乳搾り実演、アルプホルンの演奏などもあり、地元の珍味である「ラクレット」(これについては前回の記事で詳しく書きました)も振る舞われます。近年、この伝統的な祭りは私の出身地を含む国内の他の地域でもリバイバル(復活)を楽しんでおり、そこではラムシチュー(いいえ、ターキーではありません!)とマッシュポテトが提供されます。


また、ベルナー・アルプス地域特有の「ケステイレット(Chästeilet)」もあります。これも夏の終わりの牧下りを祝うものです。名前を大まかに訳すと「チーズの分配」となり、文字通り、何世紀にもわたる慣習に従って山のチーズを切り分け、分配するのです。前回の記事でも触れた通り、スイスにおいてチーズは大きな役割を果たしており、その量は半端ではありません!


これらの祭りに共通し、アメリカの感謝祭と異なっている点は、感謝祭が国民的な家族行事であるのに対し、スイスの祭りは地域主導の、フォークロア(民俗伝統)豊かな野外フェスティバルであるということです。


起源は似ていても、これほど多様な伝統が、これほど異なる形や規模で存在しているというのはワクワクしませんか? あるものはその国や地域に特有であり、またあるものはフォーマットを保ったまま、あるいは新しい環境や文化に合わせて完全に形を変えて、世界の他の地域へと広がっていくのです!


ところで、私はスイスで上記の二つのイベントを目撃する機会には恵まれませんでした。でも少なくとも、「伝統的な感謝祭のターキーを食べる」というリストの一つは、今回クリアできました……。

 
 
 

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