12本のボトル、0円
- rowiko2
- 5 時間前
- 読了時間: 5分
ワインとカスタマーサービス、そして日本がなぜ他とは違うのかにまつわる物語
先日、某大手オンライン小売業者(名前は伏せておく)でロゼワインを8本注文した。 法的措置を恐れているわけではない。
主な理由は、彼らがちょうど12本ものワインをタダでくれたばかりで、気が変わられては困るからだ。
説明のつかない理由により、我が家のワイン備蓄は驚くほど低い水準にまで落ち込んでいた。注文したのは土曜日で、配送予定は月曜日だった。
月曜日が来た。しかし、ワインは来なかった。
ウェブサイトを見ると、配送が火曜日に遅延したという。労働力不足が深刻なこの国で、約束された配送時間が守られないのは珍しいことだ。そもそも、そんな状況下で普段いかにして完璧に配送をこなしているのか、率直に言って私には謎でしかない。
だが、日本でさえも、たまには遅延は起こる。
火曜日が来た。それでもワインは来ない。今度はウェブサイトがより「洗練された」アップデートを提示してきた。「お届け予定日:不明」。
自宅にはもう半瓶しか残っておらず、状況は軍事戦略家が「危機的状況」と分類するレベルに達していた。
いよいよカスタマーサービスに連絡する時だ。
こちらの「生きる意欲」を試すかのようなチャットボットの障害物競争を無事に切り抜け、ようやく人間のオペレーターにたどり着いた。万歳!
名前から察するに、彼女はインドのどこかに座っているようだった。
ワインがいつ現れるか分からないまま無期限に待つつもりはないと伝えると、彼女はすぐに全額返金を申し出てくれた。 素晴らしい。
2時間後、私のアカウントに返金が反映された。しかし、それは「全額」ではなかった。8本注文したうちの6本分しか返金されていなかったのだ。
再びカスタマーサービスへ。 別のチャットボット。別の説明。別のオペレーター。またしてもインド系の名前だ。
今度の担当者は、すぐに間違いがあったことを認め、残りの金額も2時間以内に返金すると約束してくれた。
この時点で、私は親戚の誰よりも、インド亜大陸の人々と長い時間をかけてコミュニケーションをとっていた。
返金が完了すると、私は改めて注文をやり直した。
これが幸運だった。お得なキャンペーンを見つけたのだ。ロゼ5本とスパークリングワイン1本の「6本テイスティングセット」。なんと24%オフ。
これを2セット注文すれば、本来8本分だった金額とほぼ同額で、12本手に入るというわけだ。
「すべての出来事には意味がある」と自分に言い聞かせることがよくあるが、今回がまさにそれだと思えた。
翌日、2つの箱が届いた。開封してみると、テイスティングセットの内容はロゼ3本とスパークリング3本だった。 「5と1」ではなく、「3と3」。
ウェブサイトの表記と倉庫の間で、数学が予想外の展開を見せていた。
みたび、カスタマーサービスへ。 同じ週に3回目だ。
今や私は、バンガロールかムンバイ、あるいは彼らがどこで私のワイン関連の緊急事態に辛抱強く対応してくれているのかは知らないが、サポートチームの半数とファーストネームで呼び合える仲になっていた。
私は慎重に内容物を撮影し、広告のボトルと実際のボトルを比較し、証拠を整理した。そして、欲しくもないスパークリングワインが4本も届いたことに対して、いかに補償を受けるべきかという説得力のある抗弁を用意した。
準備は万端だった。
すると、カスタマーサービスの担当者は即座にこう返してきた。 「ご不便をおかけして申し訳ございません。心よりお詫び申し上げます。全額返金のお手続きをいたします」
私は目を疑った。 「全額返金ですか?」とタイピングした。 「はい」 「ワインはどうすればいいですか?」
「この商品は返品の対象外です。そのままお持ちいただくか、破棄(処分)してください」
「破棄(処分)してください」。 なんとも興味深い提案だ。
はっきりさせておくが、そのワインに何ら悪いところはなかった。
つまり、まとめるとこうだ。
- 私は12本注文した。
- 私は12本受け取った。
- 私は代金の全額を返金してもらった。
- そして、ワインをそのまま持っていていいと言われた。
気がつくと、私は完全にタダのボトル12本の持ち主になっていた。 狡猾な計画を立てたわけでもない。 法の抜け穴を突いたわけでもない。
特に効果的なクレームをつけたわけでもない(その機会すら与えられなかった)。
単に、届いた4本が期待していた4本と少し違った、というだけの理由で。
最も驚いたのは、その結果ではない。抵抗が驚くほど少なかったことだ。
私の主張を疑う者は誰もいなかった。膨大な証拠を要求されることもなかった。「ワイン不一致専門部署」に案件をエスカレーションされることもなかった。
問題はただ認められ、解決された。
そこで、日本の話になる。 対応してくれたオペレーターは皆インドにいたようだが、サービスそのものは紛れもなく「日本流」に感じられた。
「顧客は誠実に行動している」という前提。不便をかけたこと自体が、補償に値する十分な理由であるという考え。目的は「どちらが法的に正しいか」を判断することではない。
目的は「いかに早く顧客満足を回復させるか」なのだ。
スイスなら、ああだこうだと議論になっただろうと推測する。非の打ち所のない証拠を求められたり、間違って届いた4本を返送しろと言われたりしたかもしれない。
しかし日本では、カスタマーサービスはしばしば異なる原理で動いている。 「お客様に不便が生じた。その不便を解消しなければならない」
そしてどうやら、私の不便を解消する最も手っ取り早い方法は、12本のワインをタダでくれることだったらしい。
文句があるわけではない。 結局のところ、12本のタダのワインに対して文句を言うのは、失礼というものだ。




コメント